あらすじ
東京の片隅に暮らす高校生・佐藤渚(さとう なぎさ)は、部活も恋も中途半端な、どこか満たされない日々を送っていた。そんなある日、通学途中の公園で、ボロボロの野良猫と出会う。渚はその猫を「ニャン太」と名付け、こっそりエサをあげたり、話しかけたりするようになる。
ニャン太は気まぐれながらも、どこか渚の気持ちを察するように寄り添い、時にツンとしながら、時に優しい目で渚を見つめる。季節は春から初夏へ――渚の生活は少しずつ変わっていく。家族との関係、友人との距離、そして自分自身の気持ち。ニャン太と過ごすかけがえのない日々が、渚の中に「大切なもの」を育んでいく。
しかし、3ヶ月が経ったある朝、ニャン太は渚の前から姿を消す。小さな手紙のように、渚の心に爪痕を残して――。
ニャン太は旅に出たのだ。誰にも告げずに、また誰かの心に寄り添うために。