あらすじ
地方のとある辺境の村。
緑豊かな山あいに、ひっそりと佇む小さな魔法医療の教室があった。そこを一人で切り盛りしていたのは、男爵家出身の女性、セシリア・ド・モントヴェール 。かつて王都に呼ばれることもなかった田舎貴族の娘にして、「料理が趣味な、平凡な医療師」を自称する穏やかな女性だった。
だがその正体は――
かつて王国の学究機関でも注目された【最高位の魔法医療の使い手】
彼女が育てた生徒たちは、次々と王都で出世し、今や魔法医療界を支える主軸に。中でも最も優秀だった教え子のレオナールは、医療組織の総責任者『大典医』に就任し、再び恩師セシリアの元を訪れる。
「どうしても、先生を王都へお迎えしたいのです。これは、国王陛下の命でもあります」
一枚の任命書には、国王の権威を象徴する印章が刻まれていた。
かつて妹に幼馴染の婚約者を奪われ、田舎で静かに暮らしていた彼女は、戸惑いながらも、王都という舞台へと足を踏み入れる。
そこは、かつて自分を見下していた元婚約者と妹が、貴族社会で振る舞う場所。そして、教え子たちが英雄のように称えられる、まばゆい世界。
自信を失いかけていた女性が、再び人々に必要とされる歓びを知り、
恋も、誇りも、もう一度取り戻していく――