あらすじ
旧館の図書室には、秘密がある——
それは、当番のふたりが静かに恋に落ちること。
綾瀬奏(かなで)、高校二年。図書委員長。
読書とことばが好きで、少しだけ“面倒な女”だと思われがち。
でも彼女にとって、言葉は「生きてる証」。
そんな彼女が、ある日ふと気づく。
図書室の片隅に座る男子、中村航(なかむら・わたる)が気になって仕方ないことに。
彼は無口で、感情が読みづらく、でも本を開くときの手つきが優しい。
そして──誰にも見せない詩を、密かに綴っているらしい。
週に一度の当番。
一緒に並んで書架を整理し、展示の言葉を選び、返却本の匂いに笑い合う。
図書室の“静けさ”の中、ふたりは少しずつ、でも確かに近づいていく。
けれど、心の距離を縮めるのは簡単じゃない。
「恋」を知らないふたりには、目を合わせるだけでも精一杯。
応援してくれる友人、空気を読んで笑わせる男子、ちょっと冷たい生徒会のあの子。
それぞれの思惑と優しさが交錯する中、
奏は悩みながら、自分の気持ちに名前をつけようとする。
図書室で始まったこの“物語”は、
いつか誰かに読み返される日が来るのだろうか。
それとも──まだ、書きかけのまま?
恋することは、まるで、一冊の本を大切に読むようなこと。
これは、言葉と沈黙のあいだで紡がれる、甘くて静かな青春ラブストーリー。