あらすじ

ポストの底に差出人も宛名もない封筒が届いた日から、男の日常は静かに崩れ始めた。 幾十枚にも及ぶ手書きの便箋は、「私」でも「君」でもない”誰か”の記憶で満ちていた。 語られるのは、遠い過去。けれどそこには、自分が知っているはずの風景、自分がいたはずの場面、そして--自分が忘れたはずの”彼女”の気配が滲んでいた。 だが、記憶に違和感がある。どこかが、重なっている。 語り手はページごとに姿を変え、現実と記憶、過去と現在、罪と被害が、鏡合わせのように入れ替わっていく。 やがて男は気づく。 この手紙は、ただの告白でも斬撃でもない。 それは”読み手の記憶そのものを書き換える装置”だった。 「君が最初に殺したのは、記憶だ。君が最後に殺すのは、私だ」 書かれていないものにこそ真実は潜む。 そして語られていない”夜”には、決して目を向けてはならない理由がある--。 真実を追えば、記憶が崩れ、現実が歪む。それでも読まねばならない。 なぜならこの手紙は、”読んだ者の中でしか終われない”からだ。

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カクヨム
カクヨム2025/06/23
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