あらすじ
高校生の海斗は、放課後の美術室で傑作を描き続ける物静かな少女、ひかりに心を奪われる。
彼女の才能、優しさ、そして笑顔に触れるうち、彼は恋に落ちていく。
しかし、ひかりは頑なに彼を遠ざけようとする。彼女は、恐ろしい秘密を抱えていたから。
彼女はついに告白する。自分は「感情性記憶転移」という病気なのだと。
その日に感じた最も強い感情が、夜、眠りにつくと、ランダムに過去の記憶を一つ消してしまう。
海斗と訪れた海で純粋な喜びを感じた日、彼女は翌朝、子供の頃に飼っていた犬の名前を忘れていた。
彼を愛すれば愛するほど、彼女は自分自身のかけらを失っていくのだ。
それでも海斗は諦めない。彼は彼女の「外部記憶装置」になることを決意する。
彼女が話すことすべてを日記に書き留め、写真を撮り、彼女の病と戦うことを誓う。
二人の恋は、美しく、儚いものだった。すべての幸福な瞬間が、記憶を失う危険と隣り合わせだった。
そして、ひかりが彼女の最高傑作――海斗の肖像画――を完成させた時、彼女は決して取り戻すことのできない、あまりにも大きな代償を支払うことになる。
これは、記憶の重さと愛の代償、そして、たとえ相手が忘れてしまっても、自分だけは憶え続けるという約束の物語。