あらすじ
魔法鍛冶師見習いのエルマは、敬愛していた師匠に恋心を抱いていたが、彼に自身の設計と思いを盗まれ、心に深い傷を負った。
この裏切りを機に、エルマは恋愛の一切を捨て、自らの技術のみを信じて生きることを誓う。
王都の片隅に小さな工房を構え、史上最高の剣を鍛え上げるという、ただ一つの目標のために日々槌を振るっていた。
そんな彼女の静かな日常は、王室騎士団を率いる無愛想で恐れられている騎士団長、ギデオンが工房を訪れるようになってから一変する。
彼は口説きに来るわけではない。純粋な武具の愛好家として、エルマの類稀なる才能にすっかり魅了されてしまったのだ。
彼はただ黙って彼女の仕事ぶりを眺め、希少な鉱石を差し入れ、ぶっきらぼうながらも的確な助言を与えていく。
高貴で美丈夫な男性からの予期せぬ関心に戸惑うエルマだったが、自身の仕事に対する彼の真摯な敬意に触れるうち、固く閉ざした心も少しずつ解かされていく。
自分には鍛冶場さえあればいい、そう思っていたはずなのに、いつしか彼の訪問を心待ちにしている自分に気づく。
これは、愛を捨てて職人として生きることを選んだ女性が、最高の鍛冶師への道を進む中で、予期せぬ溺愛に見出される物語。