あらすじ
リーナは「竜葬司(りゅうそうし)」と呼ばれる竜の葬儀師。
世界で最も強大な生き物である竜の安らかな死を保証することが、彼女の神聖な務めである。
それは、誰にも理解されにくい、厳かで孤独な仕事だ。彼女は、千年の寿命を終えようとしている古竜イグニスのための儀式を執り行うべく、人跡未踏の「竜の高峰」へと召喚された。
そこで彼女を待ち受けていたのは、竜の番人一族の最後の生き残りである青年エルだった。
彼は生まれた時からイグニスと共に生きてきた。エルにとって、リーナは聖職者ではなく、長年の友を奪いに来た死刑執行人に他ならなかった。
彼は冷たい敵意をもってリーナを拒絶し、彼女が友の命を「奪う」ことを阻止しようと固く決意していた。
竜の最期の時を待つ間、共に暮らすことを余儀なくされた二人。
リーナは、自らの仕事が暴力ではなく、敬意の表れであることをエルに証明しなければならない。彼女の緻密な儀式と、竜の伝承に関する深い知識を通して、彼は死に対する新たな側面を知る。
偉大な竜の思い出を語り合ううち、死を理解する女と、生しか知らなかった男の間に、予期せぬ敬意と、そしてより深い愛情が芽生え始める。
しかし、竜の死は強大な魔力を解き放ち、その力を狙う闇の勢力が待ち構えていた。二人は、竜が遺すものを、そして芽生え始めたばかりの自分たちの未来を守ることができるのか。