あらすじ
時は明治、皇(おう)家の四の姫、皇鈴蘭(すめらぎすずらん)、十七歳。
姉の婚約者を奪うこと三度にわたり、ついた使用人は長続きしたためしがない、あげく常日頃鼻が曲がるほどの香を纏っている。そしてその出生の逸話、金色の髪から、実は皇の娘ではないのではないかと噂される――活けた水すら毒と化す、毒の姫鈴蘭。
毒姫と呼ばれる鈴蘭は、父皇のとりはからいで政府機関「陰陽寮」の若きエース、安倍晴明の生まれ変わりと誉れ高い篠森晴継(しのもりはるつぐ)のもとに降嫁することになる。テイの良い厄介払いか、とうとう自らも政局の駒になったのだろうと冷静に推測する。鈴蘭は全てに期待していなかった。
一方の晴継は三度目の結婚、三度目の妻に毒姫を迎えるにあたり、鈴蘭にこう告げる。
「結婚とは契約です。人生を結び合わすことに意味を見いだすのは、お互いを知ってからで宜しい。そして、貴女は、私を知る必要は、ない」
「貴女が人形のような飾り物の妻であればあるほど、私はやりやすいのです」
愛がない、形ばかりであるとされる結婚の中で、鈴蘭は、皇家にはなかった、「当然の暮らし」を知っていくことに……?
ナツガタリ25のために書き下ろした作品です。