あらすじ
大手食品会社で働く御舩葵は、誰にも迷惑をかけない優等生。だが、ある日モニターとして着用した「加圧インナー」によって、彼女の人生は静かに狂い始める。
その布は、ただの衣類ではなかった。背筋を正し、姿勢を整え、美しさと自信を与えてくれる――はずが、その“締めつけ”はやがて彼女の肉体と精神を侵食していく。
汗を吸えば布はうねり、肌に沈み、脱げなくなる。誰にも気づかれず、誰にも頼れず、ただ黒い布だけが彼女のすべてになっていく。
一方、加圧インナーの開発企業「未来装研」では、江戸時代から続く“黒い布”の怪異と、それにまつわる死者の記録が密かに共有されていた。誰も知らないうちに、伝承の祟りは現代へと姿を変え、動き始めていた。
葵の身体が“器”となったとき、理性は、信頼は、そして自我は……何を代償に保てるのか?
静かな恐怖とゆがんだ快感が交差する、現代フェティッシュ・伝奇ホラー。