あらすじ

戦争で片腕を失い帰郷した直澄は、かつての故郷に心の居場所を見出せずにいた。 村人たちの同情と裏腹の感情に苛まれ、戦場の記憶に蝕まれながらも、静かに生きることしかできなかった。 そんな彼を、盲目の幼馴染・律が変わらぬ声で迎える。 「おかえりなさい、無事でよかった」と。 律は終戦の年に母を亡くし、視力も失いながら、父の教えを支えに田圃を守り続けていた。 償いのつもりで田植えを手伝い始めた直澄は、次第に律の穏やかな日常に癒やされていく。 泥の感触、苗の匂い、律の童歌── それらが失われた自分の欠片を埋めていく。 そしてある日、律は告げる。 誰かが誰かを待ち続ける場所が、確かにここにあった。 重く垂れこめた六月の空の下、直澄は律とともに土に命を植え直す。 喪失の先に、静かに芽吹く希望を抱きながら──。

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カクヨム
カクヨム2025/06/19
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