あらすじ
田中誠、32歳、しがないサラリーマン。彼が生きる世界は、色褪せたモノクロ映画のように、退屈で、意味を見出せない日々の繰り返し。心臓は動いているのに、魂は眠っている。「生きている実感」なんて、どこにもなかった。
そんな彼が、ある夜、まるで空間のバグのように、路地裏にひっそりと佇むカフェ「エニグマ」に迷い込む。そこで出会ったのは、全てを見透かすような美しいマスター・霧島玲子と、その娘で、太陽のように明るいウェイトレスの光。
彼女の笑顔に、誠の灰色の世界は、一瞬にして極彩色の輝きを放った。
「彼女に、もう一度会いたい」
その一心で、オカルトに興味ゼロにも関わらず、店に貼られた「オカルト研究会」の怪しげなチラシを掴んでしまう!
だが、誠を待っていたのは、甘酸っぱい青春などではなく、常識が通用しない、最高に面倒で、最高に面白い非日常だった。
天才だが極度のコミュ障ハッカー、ナルシストで胡散臭い占い師、秒で生きる天真爛漫なギャル令嬢、そして、普段はキモいが、いざという時にキレ者すぎる元刑事……。
あまりにも個性的すぎる「世界のバグ」のような仲間たち。
彼らが挑むのは、ポルターガイスト、UFO、心霊現象といった、摩訶不思議な事件の数々。しかし、その解決方法は、お祓いでも魔法でもない。「全ての事象は、固有の周波数を持つ波である」「人の想念は、ネットワークを伝わる情報(ミーム)だ」「世界の真理は、複雑系で記述できる」。専門用語とトンデモ理論で、世界の謎を、ありえない方法で解き明かしていく!
電車で読めば必ず後悔するレベルの爆笑ドタバタコメディかと思えば、次の瞬間にはハンカチ必須の号泣必至なシリアス展開へ。主人公・誠のキレ味抜群のツッコミが、常識外れの仲間たちと、世界の深遠な真理に挑む!
果たして誠は、「生きている実感」を取り戻し、光との恋を成就させることができるのか?
美人マスターが静かに淹れる一杯の紅茶が、あなたの世界の周波数も、きっと優しく調律してくれるはず。
『マスターは静かに紅茶を淹れる』、ここに、心温まる開店です。