あらすじ
作者から一言
「ごく普通の主婦」という存在が、特定の性癖にとって強烈な引力を持つという設定に惹かれ、物語を膨らませていきました。最初は単なる不快な視線から始まったものが、万引き、強盗とエスカレートし、最終的に最も権力を持つ人物からの歪んだ執着に行き着くという展開は、私自身も書いていてゾッとしました。
主人公・みゆきは、最初は普通の主婦として怯えるのですが、一度吹っ切れると、マニュアル破りや格闘技習得など、どんどん「普通」から外れていくのが面白いところです。特に、柔術や総合格闘技といった、相手を物理的に制圧する技術を習得することで、彼女が単なる被害者ではなく、自ら状況を切り開こうとする存在になっていく過程を描きたかったのです。警察署長を柔術で抑え込むシーンは、書いていて一番「おいおい(笑)」と思った部分で、彼女が持つ技術と、その技術を使う「よからぬ」意思のバランスが、物語の歪みを象徴していると思います。
そして、最後に明らかになる視線の主が、権力を持つ警察署長という皮肉。最も安全であるべき存在が、最も危険な変質者であるという事実は、物語に深い闇と、逃れられない閉塞感を与えます。一日警察署長という舞台は、みゆきにとって栄光であると同時に、署長という変質者との、公的な、そして最も歪んだ形式での「共演」を意味します。
この物語は、単なる性的なサスペンスだけでなく、権力を持つ人間の闇、そして「普通」であることの脆さ、そしてそこから脱却して戦う女性の強さと、それに伴う歪みを描ければと思っています。みゆきがこの後、警察署長との歪んだ関係の中で、どのように立ち振る舞い、そして自分自身の「普通」を取り戻せるのか(あるいは、もはや取り戻せないのか)、その先の展開にもご期待いただければ幸いです。