あらすじ
この国には、“存在しないはずの男”がいる――。
どこにでもいる冴えないライター・高倉憲吾は、ある日ネットで“奇妙な動画”に出会う。
それは、戸籍のない男「田中誠」を探しているというものだった。
生年月日、特徴、そして──破格の報酬。
投稿者の正体は不明、映像はどこか不気味で、荒唐無稽。
だが、どこかに“本物”の気配があった。
真偽もわからないまま、男はその捜索に人生を賭けてゆく。
ネット、掲示板、資料、廃村、噂、証言──
かすかな痕跡をたどるうちに、社会の隙間にぽっかりと空いた「虚の穴」が、彼の人生を呑み込んでいく。
「存在するとは、どういうことなのか」
「真実は、誰が決めるのか」
「信じるとは、救いか、それとも……」
やがて彼は、誰も辿り着けなかった“何か”に触れる。
だが、それは果たして真実だったのか、それとも――