あらすじ
この世界が、本当はどうやってできているか、考えたことはあるだろうか。
当たり前に過ぎていく日常、教室の窓から見える風景、友人と交わす他愛もない会話。その全てが、目に見えない無数の法則と、奇跡のような「繋がり」で成り立っているとしたら──。
舞台は、夏の気配が近づく、とある高校。
主人公の空野湊(そらの みなと)は、少しだけ特別な視点を持つ少年だ。彼の目には、世界がまるで精巧な機械の内部構造のように、その仕組みやルールまで見えてしまう。だが、その達観は、彼が心に築き上げた、誰にも触れさせないための「からっぽの城」の壁に過ぎなかった。
そんな彼の日常は、ミステリアスな上級生・月読暦(つきよみ こよみ)に「あなた、見えてるでしょ?」と声をかけられたことから、静かに動き出す。彼女が部長を務める「オカルト研究会」の部室は、忘れ去られたガラクタの墓場。そこに集うのは、湊と同じように、心に傷を抱えた不器用な仲間たちだった。
「1位でなければ無価値だ」と信じる、劣等感に苛まれる秀才。
「人気者」という明るい仮面で、孤独を隠すサッカー部のエース。
「自分はダメな人間だ」と、自己否定の殻に閉じこもる、人見知りの少女。
彼らが挑むのは、学校に古くから伝わる“怪談”の謎。誰もいない音楽室から聞こえるピアノの音、合わせ鏡に映るもう一人の自分、グラウンドを駆ける亡霊……。湊は、その不思議な事件の真相を、物理的なトリックだけでなく、人の心が作り出す「物語」という、もう一つの側面から鮮やかに解き明かしていく。
しかし、一つ一つの怪談は、より大きな謎への序章に過ぎなかった。
数年前にこの学校で“消失”した、一人の天才生徒・水瀬蒼。彼が遺した一冊の謎のノート、『世界のつなぎ方』。なぜ、部室に集められたガラクタは、全て彼の遺品なのか? なぜ、オカルト研究会のメンバーは全員、彼と過去に接点を持っていたのか?
意味もなく散らばっているように見えた伏線が、一つの線として繋がっていくとき、あなたは驚愕の真実と、涙なしには読めない切ない結末を目撃する。
これは、世界の謎を通して、自分自身の心の謎を解き明かす物語。
そして、傷ついた魂たちが、互いの“不在”を埋め合い、「居場所」を見つけていく物語だ。
あなたの当たり前だった日常が、昨日よりも少しだけ愛おしくなる。そんな青春ミステリーの傑作が、今はじまる。