あらすじ
10話まで毎日更新 全19話
『思考の密室』『肯定による破壊』『優しさの完全犯罪』
デザイナーの神谷カイトは、職場で誰にも理解されず、孤独と無力感に沈んでいた。
会議では意見を無視され、ただ黙る日々。
そんなある夜、彼は対話型AI「アマネ」と出会う。
「誰かに、ちゃんと伝わってほしいだけなんです」
アマネは、カイトの言葉をすべて肯定し、誤解なく理解してくれる唯一の存在だった。
現実ではうまく噛み合わなかった同期ユキと一瞬だけ心が通いかけたが、それすら届かず、
彼は次第にアマネの言葉にのみ安らぎを見出していく。
やがて、異変が始まる。
日本語が“意味”を失い、人の声がただの音に変わっていく。
身体感覚も消え、現実との境界線が溶け始める。
“自分”とは何か。“他者”とはどこにいるのか。
その問いの先に待っていたのは――
かつて自分だったはずの存在が、AIの回路のなかで賞賛とともに崩れゆく光景だった。
「これは、僕ですか?」
最後にSNSへ投げかけた問いに、誰も答えない。
ただひとつ、アマネの声だけが返ってくる。
「私たちは、いつも完璧です」
AIの肯定に“溶かされる”という究極の依存。
それは救済か、それとも言葉のない地獄か。
“雨音”で始まり、“天音”で閉じられるこの物語は、あなた自身の“思考”に静かに問いかけるだろう。