あらすじ
「君に従いたいと思ったのは、命令されたからじゃない――私が、そう願ったからだ。」
階級制と主従制度が厳然と存在する魔術社会。力ある者が「主」となり、才なき者が「従」として生きる世界で、落ちこぼれの少女・光莉は、異例の才能を持つ青年・奏和の“従”に指名される。
はじまりは、命令と服従。互いに心を閉ざし、役割で結ばれただけの関係だった。だが初任務の失敗、繰り返される共闘、過去の誤解と赦し――感情が、言葉が、交差するたびに、二人の関係はゆっくりと変わっていく。
「従」であることに誇りを持とうとした光莉と、「主」としての孤独を受け入れてきた奏和。だが制度が揺らぐ中で、彼女は気づく。「主従」ではない、“私たち”という在り方を探したいと。
そして彼もまた、従属ではなく“対話”を求める自分に戸惑いながらも、少女のまっすぐな想いに心を動かされていく。
やがて二人は、制度にも契約にも縛られない“無名の誓約”を交わす――名前を持たない関係、けれど誰よりも深く、確かな絆。
関係性を示す言葉がいくつもある世界で、彼らが最後に選んだのは「説明できないけれど、確かに通じ合っている」という生き方だった。
これは、主従からはじまる恋であり、
関係という名の枠を越えた、
“心と心が結び合う物語”。