あらすじ
大阪で一人暮らしをしながら働く女性・山口真理(27)は、ある日、東京に住む大学時代の友人・香織から奇妙なLINEを受け取る。
「この前、渋谷で真理を見かけた」と。
だが、その日、真理は大阪で勤務しており、確かなアリバイ(タイムカード、レシート、位置情報)も残っている。
やがて、別の知人からも「東京で見かけた」との報告が届き、しかもその目撃情報には「優香と一緒にいた」という証言まで加わる。
優香──大学時代、真理が一線を越えてしまった、かつての親友。
そしていまや、疎遠になっていたはずの存在。
真理は次第に、東京で自分として目撃されている人物が、ただの他人の空似ではないのではないか、という不安に取り憑かれていく。
通勤途中に、ビルの窓に映る「わずかに異なる自分」、人混みに紛れて消える後ろ姿。
日常の風景のなかに、もうひとりの「私」が忍び込みはじめる。
不安に耐えきれず、真理は長く連絡を絶っていた優香にLINEを送る。
送信をためらったその瞬間、部屋のインターホンが鳴る──知らない荷物の配達、間違えた部屋番号。
何気ない出来事にも、どこか異様な違和感がまとわりつき始める。
そしてついに、優香から返ってきたメッセージ。
香織や遥とは会っていないという優香。
しかし香織は、「東京で真理と優香が一緒にいた」と証言している。
さらに、遥からの連絡で明かされる事実。
駅で真理にそっくりな誰かを見かけた遥は、「それが本当に中身のある人間だったのか分からない」と告げる。
私を装い、私の顔をして、私の声で喋る何か。
それは一体、誰なのか。