あらすじ
――時は江戸後期、文政十二年。
江戸の闇に次々と現れる“美しい斬痕”を残した異常な殺人事件。その痕跡から犯人像を追うのは、「御様御用」五代目の山田浅右衛門・吉睦。
死体に刻まれた斬撃痕から、刀の銘、使い手の癖、犯人の心の闇までもを読み解く“斬痕見立て”の名人――
だが、事件はただの模倣犯では終わらず、「型」を狂信する黒幕と、町に広がる“型”の呪い、吉睦自身の過去と「斬ることの意味」までもが絡み合い、彼自身もまた命を賭して真相に迫っていく。
仲間の岡っ引き・録之助、奉行所の面々、師弟の絆、そして“次の世代”へ――
江戸の人間模様と刀剣伝奇の闇、武士たちの誇りと絶望が交差する異能ミステリー、ここに開幕。
刀剣に刻まれた「業」と「記憶」が、読者に深い問いを投げかける。