あらすじ
──届かぬ想いは、運ばれる。存在しない“始点”から。
この世界には、決して届かず、拾われず、還ることもできない“想い”がある。
忘れたはずの記憶、伝え損ねた言葉、そして、残された未練。
それらを密かに運ぶ謎の運送業者――「零番物流」。
正式名称は「零番輸送サービス株式会社」。
すでに廃業したはずの旧運送会社は、今なお、“存在しないはずの番地”へと配達を続けている。
都市伝説のように語られるその運送業者を追うのは、遺品整理士にしてノンフィクションライター・朽木 縁(くちき ゆかり)。
依頼を受け、遺品に触れるたび、彼女は“あの人”の記憶と、再び向き合うことになる。
「……縁って、やっぱり、やさしいんだね」
忘れたはずの声、右手に残る温もり。
そして、ある日届いた、“宛名のない小包”。
それは、過去からではなく――
“存在しない始点(ゼロ)”から、再配達されたものだった。