あらすじ
彰人は小学校五年生となる春、桜の見頃な日に大好きだった祖父を亡くした。大好きだった祖父の死を受け入れたくなくて、家を飛び出した彰人が門前で涙を流していれば、祖母がやってきて言う。
「じいさんがなぁ。心配しちょったんよ、裏の山にある山桜のことを」
一番、大好きだった子がいるという山桜の死を見届けられないことが祖父の心残りだと知った彰人は代わりに見送ることにした。大好きなじいちゃんが悲しいまま天国に行ってほしくなかったから。
あまり花を咲かせていない山桜の元へとやってきた彰人の前に一人の少女が現れる。赤い着物が良く似合う長い黒髪の少女は言った。
「寂しいでしょう」
これは彰人が別れを見届けて、大好きな存在を見送る勇気をもらう、少し不思議な春の出来事。