あらすじ
飛騨の山中に伝わる、戸上流忍術宗家の最後の試練が訪れた。それは「共鏡(ともかがみ)の間」という、自分の姿を無限に移す合わせ鏡の遥か向こうに心理を見いだす、というものだった。佐紀は心を鎮め、数時間の瞑想の後開いた双眸に映った光景に息を飲んだ。巨大な大蛇に、自分諸とも人々が飲み込まれようとしていたのだ。戸上流を継ぐ者は、その力を世の中を平定するために振るわねばならない。自らを鼓舞して列車に乗った若者を待っていたのは、東京という巨大な迷路だった。闇の中で佐紀は、鏡に飲まれた者を求めて彷徨うのだが ──