あらすじ
朝の六時から八時までのあいだ、花のひらく音が聞こえる。とてもかすかで、やわらかな。静かにふれあう花びらの音。
それがぼくにだけ聞こえる、人間が生きている命の音だと知っていた。
このひとの花は何の花かと問われ、「バラ」と答えると、さらに種類を訊かれた。
答えられずにいるぼくに、
「わたしのバラを見つけてきてね。そして、どんな香りがしたのかを教えて」
そう言って百種類のバラが咲く庭園へと笑顔で送り出すひとと、ぼくの話。
(超·妄想コンテスト245回「忘れられない匂い」に応募しようとして間に合いませんでした)
2025.5.26.