あらすじ

――植物の「声」を聞く青年は、ある春、ひとつの桜と恋に落ちた。 大学院で植物生態を学ぶ青年・集音路 渉は、国の天然記念物に指定された老木「千年桜」の調査を依頼され、京都北方の小さな町・桜野町を訪れる。 咲く気配を見せない桜を前に、渉はただの植物として割り切れない“想い”のようなものを感じ始める。 夢に現れる不思議な女性。有名な桜をひと目見ようとする観光客。古文書に記された伝承――。 やがて渉は、植物の「声」を聞くという、自らに芽生えた特異な能力に気づく。 それは、科学では割り切れない“何か”への扉だった。 千年を越えて咲き続けた枝垂桜の記憶と想い。 人と植物の境を越えた出会いと別れの中で、渉はやがて、自らの進むべき道を見出していく。 儚くも力強い、花と心をめぐる幻想植物譚。 今、ひとりの“花守り”の旅が始まる。 <登場人物> ■ 集音路 渉(しゅうおんじ・わたる) 25歳。大学院で植物生態学を学ぶ青年。柳教授の研究室で助手を務めている。 幼いころから植物の“訴え”のような気配を感じ取ってきたが、桜野町での調査を通じて、植物の「声」を“言葉”として聞く能力に目覚める。誠実でやさしく、繊細な感性の奥に芯の強さを持つ。 ■ 柳教授 60代。渉の指導教官。冷静で現実的な思考の持ち主だが、渉の特異な感受性を否定せず、穏やかに見守っている。植物庁と大学との橋渡し役も担い、調査全体を後方から支える存在。

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エブリスタ2025/07/20
  • 現在の作品集音路渉 花守り日誌