あらすじ
風に乗ってどこまでも遠くへ運ばれていく、沈丁花の香り。
蝶がその香りに吸い寄せられるように、
体に沈丁花の形をしたアザがある娘――せつなもまた
“よからぬもの”を引き寄せる力を宿していた。
親戚中から忌み嫌われ、人買に売られた少女せつな。
遊郭の次期楼主――天珠に買われたことで、
絶望的だったその後の運命が大きく変わろうとする。
「お前を買った時点で、お前の命は俺のもの。
勝手に死ぬことは許さない」
“あること”のために、毎日一度だけ
せつなと天珠は口づけを交わす。
そこに、感情なんてものは存在しない。
――はずだったのに。
「どうした?その、物欲しそうな表情は」
「…そ、そんなことありません」
「正直に言ってみろ。でないと、今日の分はお預けだな」
今宵もせつなは、天珠の甘い罠に翻弄される。
そんな2人はまだ気づいていない。
遊郭に咲く沈丁花の香りを求め、
“よからぬもの”がすぐそばまで忍び寄っていることに。
《執筆期間》
2023.10.23 〜
コンテスト用に書き下ろしました。
未完でのエントリーのため、
ストーリーは途中までとなっています。
完結まで気長に待っていただけるとうれしいです。