あらすじ
九州の南に位置する急峻な山々に囲まれた「九魔盆地(きゅうまぼんち)」という土地は千年以上前より、怨霊や祟りの神が跋扈する「呪われし大地」と云われていた。
九魔の地には、神や精霊、妖怪に怨霊といった人ならざる魔の者たちと取り引きし、魔に関する問題事を取り扱う仕事をする「逢魔師(おうまし)」と呼ばれる者たちが太古より住み着いている。
櫛笥結人(くしげゆうと)は、千年の歴史を持つ逢魔師史上初めて、女の身でありながら逢魔師となった十八歳。
結人はここ数ヶ月、九魔盆地の山々で数多くの怨霊が目覚めて跋扈するという問題の解決のために奔走していた。
そんな中、結人は「火中の杜」(ほなかのもり)と呼ばれる異界に迷い込み、人間を酷く憎む「灰を以て花を咲かせる異能」を持った鬼と出会う。
何やら封印の眠りについていた鬼は衰弱しており、結人は鬼に「葉桜丸(はおうまる)」という名をつけて、しばらくの間共に過ごすこととなった。
その後、結人は怨霊跋扈の件の解決を手伝ってもらうこと、葉桜丸は人間が盗んだ己の神器を共に探すことを交換条件に、二人は互いの生命力や運命を共有し、力を増幅させる古の逢魔師の契約術「賓の契約」(まろうどのけいやく)を結ぶのだった。
これは男装の女逢魔師が、愛を知らぬ孤独な鬼のため──人と魔を巡り逢わせて結び、繋いで、愛を掬ってゆく和風恋々奇譚!