あらすじ
主人公は毎夜、満月を背にした女性の後ろ姿を見つめていました。彼女の顔を見ることも、触れることもできず、ただその背中に宿る深い悲しみを感じ取るだけでした。その幻想的な後ろ姿こそが、彼がこの世界に存在する唯一の理由だったのです。古の呪いか、運命のいたずらなのか、なぜ彼女の顔が見えないのか、その理由は分かりません。
ある夜、いつにも増して小さく震える彼女の背中を見た主人公は、思わず手を伸ばします。触れるはずのない手が、ふわりと彼女の髪に触れた瞬間、世界は一変しました。彼女の後ろ姿から光があふれ出し、その光の中に、彼は初めて彼女の顔を目にするのです。
「君は…誰?」という問いかけに対し、涙に濡れた瞳で振り返った彼女は、微かに唇を動かし「…待っていた」と答えます。
これは、後ろ姿だけを愛し続けた男性と、その背中に隠された秘密を抱える女性が、千年の時を超えてついに巡り会う、神秘的で哀切な物語です。