あらすじ
舞台は現代の新宿。
間もなく定年を迎える佐伯浩司(さえきこうじ)の元に、突如旧友の阿久津秀彦(あくつひでひこ)から一通の手紙が届く。かつて共に通っていた馴染みの喫茶店で待つ、と。
この阿久津秀彦という男は佐伯の大学時代の友人であり、立川で起きた砂川闘争を子供の頃に経験したのをきっかけに、その後全共闘に身を投じ学生運動にも参加していった闘士だった。それは大学生当時、佐伯も同志であり仲間だったのだが、いつしかお互いは生き方に齟齬を感じ自然と離れていった。そして、社会に出る頃には佐伯はそんな闘争とは遠く離れて警察官になり、一方の阿久津は殺人の疑いがかけられた政治犯となっていた。
それから三十数年後の現在。お互いに全く連絡の無いままで、突然の再会。幾星霜、佐伯は既に警察を退官し、今では民間の企業に入り定年を待つ身。一方、阿久津は殺人容疑がかけられたものの既に時効。そんな阿久津が佐伯との再会を仕向ける。
一緒に都庁を爆破しないか?
その意表を突いた一言を添えて。
激動の昭和後半期を駆け抜けた、燃え尽ききれなかった男と、燃え尽きることを望んだ男との、それぞれの人生の対比を描いた物語。