あらすじ
35歳、編集プロダクション勤務の鳴瀬はるかは、長く付き合っていた恋人に突然別れを告げられる。
穏やかで人に優しい彼女の心は、静かに、しかし確かにひび割れていった。
失意の夜、声をかけてきたのは旧友の河野美優。
同じ年齢ながらも、凛とした美貌と知性を備えた彼女は、モデルのような佇まいで、どこか浮世離れした雰囲気を纏っていた。
はるかの傷をただ黙って抱きとめた美優は、その夜、彼女を高層ホテルへと誘う――。
あくまで優しく、けれど深く重なる体温。
忘れかけていた「女性であること」の悦びと、ただ一人の人に「愛される」感覚。
朝、窓辺で全裸のまま大きく背伸びをするはるかの姿に、美優は確信する。
この人は、もう大丈夫だ――と。
失恋をきっかけにほどけていく過去のしがらみ。
友情と恋愛の境界を越えた二人が迎える、新しい朝。
肌と心がゆっくりと重なっていく、再生の物語。
■登場人物紹介
◉鳴瀬 はるか(なるせ・はるか)
35歳/編集プロダクション勤務
のんびりした性格で、誰に対しても柔らかく接する女性。
けれどその奥には、静かに燃える芯の強さを秘めている。
長年連れ添った恋人に別れを告げられ、心に空白を抱えるが、水泳で鍛えたしなやかな身体と、自らの中の"静かな情熱"に、ふたたび目を向けていく。
自分を愛してくれる人の手の温度に、少しずつ心をほどいていく姿が美しい。
◉相田美優(あいだ・みゆ)
35歳/外資系広報会社勤務
長身で黒髪、モデルのような外見を持つクールビューティー。
その容貌に反して、内面は意外と不器用で、情の深い女性。
ずっと昔から、はるかに特別な想いを寄せていたが、言葉にできないまま時間だけが過ぎていった。
ある夜、傷ついたはるかを前に、抑えていた気持ちが静かにあふれ出す。
抱きしめることで、ただ「そばにいたい」と願う彼女の愛情は、ひどく繊細で、どこまでも真っ直ぐ。