あらすじ
現実から孤立し、心を閉ざした少年・宮浦は、ある冬の日、駅のホームで“澤村穂香”と名乗る少女と出会う。彼女は幻覚か空想の産物でありながら、宮浦にとって確かな存在感とぬくもりを持っていた。彼女は寒さを感じないと言いながらも、彼の仕草を真似て震え、愛情を表現する。
その不思議で曖昧な関係の中で、宮浦は「偽りの愛」と「本物の愛」の境界に揺れながらも、穂香の言葉と行動に救われていく。
本物でなくても構わない――そう思おうとしながら、彼の心は次第に“幻”との愛に依存していく。
幻である彼女との別れの時が近づく中、宮浦はその手を恋人のように握りしめ、束の間の温もりにすがるのだった。
たとえ存在しなくても、そこに確かに“愛”があった。