あらすじ
風鈴の鳴る部屋で ― 誰にも言えない夏が始まる ―
夏の終わり。熱気の残る午後、開け放した窓の向こうで風鈴が小さく鳴った――。
大学受験を控えた高校三年生・河野千夏のもとに、家庭教師としてやってきたのは、幼なじみの姉・宮本綾音。
学生時代、まぶしいほど大人びていた綾音の存在は、いつのまにか千夏の心に静かに沈んでいた。
何気ない仕草、ふとした視線。触れた指先の温度に、少女の中の「知らなかった気持ち」が目覚めていく。
暑さに浮かされたせいにしてしまえる距離。
けれど、本当に知りたいのは、あの人のぬくもりと、その奥にある“想い”。
――これは、まだ名前を持たない恋が、そっと始まった、ある夏の物語。
🧑🤝🧑 登場人物紹介
◆ 河野 千夏(こうの ちなつ)
17歳・高校三年生。
成績は真面目だが、どこか感情を抑えがちな性格。
親のすすめで家庭教師をつけられたが、それがきっかけで“過去の記憶”と“今の想い”が静かに揺らぎ始める。
心の奥に秘めた言葉にならない感情を、少しずつ綾音に対して抱いていく。
◆ 宮本 綾音(みやもと あやね)
24歳・非常勤講師。
千夏の幼なじみ・恵の姉。
学生時代から美人で知的、大人びた雰囲気が周囲を惹きつけていた。
家庭教師として千夏のもとに通ううちに、かつての“子ども”が少しずつ変わっていく姿に戸惑いと淡い感情を抱く。
自分の気持ちを抑えようとしながらも、どこかで千夏のまっすぐな瞳に心を引かれていく。
◆ 宮本 恵(みやもと めぐみ)
千夏と同級生の友人。綾音の妹。
明るく、空気を読むのが得意なムードメーカー。
千夏と綾音の関係には気づかないまでも、時折、鋭い一言で空気を変える存在。
千夏にとっては、唯一心を開いている同年代の友人。