あらすじ

(文=オカルトサークル『Grotesques』代表・金泉柚麒) 「鶴女房」や「蛇女房」、「天人女房」といった具合に、人間と人外の者が結婚する物語、いわゆる「異類婚姻譚」は世界中に見受けられる。異類が人間に化けてアプローチする例や、ありのままの姿で想い人に詰め寄る例など、その内容は多岐に渡るものの、大半は悲劇的な結末を迎える。  日本特有の異類婚姻譚として、「蛤女房」なるものがある。主に西日本に伝わっている話で、題名通りハマグリが美女に化け、男の家へ押し掛ける場面から始まる。男は最初こそ困惑するものの、綺麗所に言い寄られてまんざらでもなく、そのまま夫婦の契りを交わす。  新しい女房は料理が得意で、取り分け味噌汁を作らせると、右に出る者はいなかった。何故、彼女の味噌汁はこんなにも美味しいのか。男は気になって気になって仕方がなくなり、ある日調理中の女房の姿をこっそり覗いてみた。 「見るなの禁」という言葉からも分かるように、昔話において配偶者の秘密を暴くのは、バッドエンドへの布石だ。大抵は正体を知られた異類の方から、家を立ち去って終了である。しかしーーことこの昔話に関して言えば、さらに凄まじい展開が待ち構えている。  歪な恋路には障害が付き物だが、真に愛を試された時、人間はどのように行動すべきか。 (怪異専門誌『桃花異 vol.008』より抜粋)

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2025/05/11
  • 現在の作品飴珠-あめだま-