あらすじ
降り続く長雨が終わり、夏の兆しが見え始めたある日。高校生の蒼井 湊人(あおい みなと)は通学路を歩いていた。幼い頃から慣れ親しんだ神社の横を通り過ぎる際、森の奥から自分を呼ぶ「声」が聞こえた気がする。
湊人が導かれるように神社の塀に耳を当てると、まるで巨大な静電気を浴びたかのような衝撃が走り、塀の一部が突如として朽ち果てた。崩れた塀の奥から手招きするような森の闇に誘われ、湊人は禁足地である鎮守の森へと足を踏み入れる。
薄暗い森の奥深くで、湊人はお札で覆われた奇妙な大岩を見つける。間違いなくあの岩から聞こえる「声」に突き動かされ、湊人がしめ縄を引きちぎろうとしたその瞬間、何者かに弾き飛ばされる。
湊人を弾き飛ばしたのは、漆黒のスーツを身につけた謎の男、鴉丸 零(からすま れい)だった。零は結界が張られているはずの森に湊人が侵入したことに驚き、強引に湊人を連れて森を出る。崩れた塀を見て、零は「とんでもなく強い霊的な力の衝撃」がなければこんなことにはならないと呟き、湊人が塀に触れた際に起きたことを尋ねる。
湊人の話を聞いた零は、普通なら迷いの結界によって辿り着けないはずの場所に湊人が到達したことに困惑する。零が応援を呼ぶため電話をしていると、湊人と同じ学校の女子生徒、鵺野 紫(ぬえの ゆかり)が駆け寄ってくる。紫は零が塀を壊したと勘違いし、修繕費用を請求すると騒ぎ立てる。
零は湊人が犯人だと主張し、湊人に改めて塀に触れるよう命じるが、何も起こらない。零は湊人の特異な能力を疑い、学校を休ませて結界の修繕部隊が来るまで見張りをさせることに。突如として非日常に巻き込まれた湊人の運命は、この日から大きく動き出す。