あらすじ

その国は幾年月廻る、穏やかなる調律の坩堝にて無辜の民草を生やし、ただ至上の人の叡智と恩赦のうちに微睡むことを赦されていた。 兎角見るべきものは有らず、御国に地平の弦を見る者は逸れものに等しき眼を向けられる。 ───『逸脱者』。 その世界にあったのは 無知の民、統制の王、 そして有識の者の三つに限られた。 王国の中座に聳える白くは高き螺旋の城。美しく日照りを返し、輝ける白光を放つ叡智の象徴である。そこにいるとされた『王』は、誰の眼にもつかずに、民の信仰(かみ)として在る。 御国を環に囲う外縁、淵の高壁はまさしくその最たる権現であり、無知が知に覆われるようにして"外"を知らしめず、この地を調停せる。 斯くて数多の教会が白の玉座を仰ぎ、無数無形の民は膝を折る。祈りはそれだけの手の繋ぎにて形となり、彼らはついぞ識ること無し。 民とは無である。その境がロゴスである。 そして保たれた理を何れかが破る時、それが逸脱となるであろう─────。 『お前は、それでも進むのか?』 ソピアーよ、まだ見ぬ意志らの苗床よ。

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小説を読もう2025/07/20
  • 現在の作品ノストイ叙事詩環 − Sophía −