あらすじ
ある村で生まれたばかりで既に死にかけた赤ん坊がいました。
たまたま旅の老人がやって来て言いました。
「もう半時もすればこの子は死ぬだろう。けれどもこの子が全く別の存在になっても構わないというなら、命だけはたすけることができる」
老人の言葉で赤ん坊の両親はそれでも良いから助けて欲しいと言うと、老人は他の者を追い出して赤ん坊と2人きりになって部屋にこもった。
暫くして老人は出て来て「終わった」と言った。
家族が中に入ると虫の息だった赤ん坊は見違えるほど元気になっていた。
両親は喜んでいたが、老人に礼を言おうと部屋の外に出ると、どこにもその姿はなかったという。
その赤ん坊が実は主人公の『俺』で、自分のどこが全くの別人なのかさっぱり見当もつかない。色んな意味で両親の子供らしい自分しかわからず、まったく別な自分を自覚したことがないというところで物語が始まる。