あらすじ
「お化け団地」と呼ばれる古びた団地に暮らす、ひとりのミステリアスな少女――白いワンピースを纏い、黒く艶やかな髪を風に揺らすその姿は、まるで夕暮れの団地に咲いた白い花のようだった。
彼女は、魔女のような老婆・池田ケイの後ろを、いつも黙ってついて歩いていた。
名をユイと呼ばれていたが、学校に通う姿は見たことがない。
誰も知らない、不思議な少女。
小学六年生の僕・洋介は、猫の保護活動をしている両親に連れられ、その団地で一匹の白猫を保護する。
だが、その日から僕の周囲で、夢とも現実ともつかない出来事が起こり始める。
そしてある夜、ケージの中に現れたのは――あの少女、ユイだった。
猫と人間のあいだに咲いた、ひとつのさよならと出会いの物語。
僕とユイ、2人の、甘くて少し怖くて、切ないラブストーリーが静かに幕を開ける。