あらすじ
事故に遭って最先端の再生治療を受けた木村万葉《きむらかずは》は、病院を出たところで出くわした見知らぬ男にいきなり謝られる。高遠直輝《たかとおなおき》と名乗る彼は、同じ大学に通う万葉の友人だったらしいのだが、万葉は治療の後遺症で彼のことが思い出せない。
取り戻した日常の中で少しずつ直輝の記憶が甦っていくうち、万葉は彼の存在がかつて自分の中で大きな部分を占めていたと気付く。だが、思い出すごとに不安も募っていく。自分はまだ何か、とても大切なことを忘れているのではないか。でもそれを思い出したら、直輝の隣にはいられなくなるのではないか。
ある日、一緒に観る約束をしていた映画の話をきっかけに、万葉は二人の間に生じた亀裂を思い出してしまう。そして、自分が事故に遭った理由も。
どうしてもすれ違えなかった二人の、三度目の冬の物語。