あらすじ
中学一年生にして、野球の類稀なる才能を開花させた五十嵐。しかし、その才能に嫉妬した一部の部員からいじめを受け、野球部を退部する。
──俺が悪いんだ……。全部、俺が……。
五十嵐はうつ病を患い、野球から距離を置くこととなった。
それから三年。中高一貫校の高校一年生になった彼の元に、かつて同じ野球部だった双子が軟式野球部の勧誘に来た。双子は当時いじめには加担しておらず、むしろ五十嵐を気にかけていた。
「俺、もう野球できるような体力がないんだ。普通の人の半分くらいしか……」
しかし、二人の圧に負け、五十嵐は部活に参加することになる──そこで待っていたのは、個性豊かな仲間達だった。
そして、事情を知らない先輩にうつ病を明かすものの、「気合いで治せよ。甘えてんじゃねーの?」と一蹴されてしまう。言い返せない五十嵐。
――俺自身が、うつ病は甘えだって思ってる。
自分にはやっぱり無理だ。一度は野球を諦めるが……。彼の実力を知る他の部員のフォローにより、先輩は改心する。また、別の先輩は「よく頑張ったねぇ」と──五十嵐が最も欲しかった言葉をかけてくれた。五十嵐は予感する。もしかしたら、ここでなら、大好きな野球をまた楽しめる方法が見つかるかもしれない、と。
雨が降ると激しい倦怠感に襲われ、室内練習に参加できずに不甲斐ないと自らを責める五十嵐。そんな彼を、軟式野球部の面々は五十嵐専用の練習メニューを考案したり、参加日数を調整したりと支えてくれる。
こうして迎えた公式戦。五十嵐は試合の途中で交代を余儀なくされる。相手チームからは「うつ病ってマジ? お荷物じゃん」と笑われるが、仲間たちはベンチの五十嵐を励ます。
「五十嵐がお荷物じゃないことを勝って証明する!」
死闘の果てに、初戦突破をもぎ取る面々。その快進撃に、五十嵐は感動する。
──頑張らないように頑張れば、こんな俺でもまた、野球が楽しめるのか。
みんなと一緒に。