あらすじ
都内の進学校に通う蒼大は、誰かに頼ることが苦手で、すべて自分の力で解決しようとする性格を持っている。成績も優秀で周囲からは「しっかりした優等生」と見られているが、実際は努力の積み重ねであり、弱さを見せたくないという思いから、心を閉ざしてきた。一方、同じ高校に通う咲希は、時間を無駄にしないことを信条としており、効率的に行動し続けている。友達との時間すらも「必要最低限の息抜き」として捉え、無駄を極力排除して生きてきた。
しかし、そんな二人の高校生活があるきっかけで交差し始める。蒼大の前に現れたのは、自由な雰囲気を持ち、人との距離を自然に縮める優姫。彼女は「頼ることは弱さではない」と言い、蒼大にそっと寄り添う。最初は戸惑いながらも、蒼大は次第に彼女の存在を受け入れ、少しずつ心を開いていく。
一方、咲希は、人助けが好きで明るくポジティブなアキマサと関わるうちに、「無駄な時間」の価値について考え始める。無駄を排除して生きてきた咲希が、アキマサと過ごす何気ない時間を「楽しい」と感じている自分に気づき、少しずつ自分の殻を破っていく。
それぞれが心の中に抱えていた不安や恐れを乗り越え、変わっていく二人。蒼大は「頼ること」の大切さを、咲希は「無駄を楽しむ」ことの意味を理解し始める。そして、彼らの想いが言葉となり、相手に伝わったとき、ようやく自分の心に素直になれる瞬間が訪れる。
変化を恐れながらも、自分を認め、相手を受け入れていく蒼大と咲希。高校生活という限られた時間の中で、不器用ながらも互いに支え合い、新しい関係を築いていく。優姫とアキマサの存在が、二人にとってどれほど大きかったのかを知るとき、彼らは一歩ずつ前へと歩き出す。
「誰かと一緒にいること」の心地よさを知り、少しずつ心を解放していく二人の青春群像劇。友情と恋心が交差し、不器用ながらも成長していく姿を描いた心温まる物語である。