あらすじ
「この世に存在する意味がない」。
そんな言葉を遺し、親友が命を絶った忌まわしい事件から十年。
加害者家族を支援する団体で臨床心理士として活動している卜部吾都(うらべあさと)は、交流会、『心のよりどころ』で、兄が殺人を犯したという藤治佐奈に出会う。「加害者家族であるわたしは、幸せになってはいけない」。参加者の前でそう語る彼女の瞳は暗い影を宿していて、吾都は罪の呪縛から彼女を救いたいと感じた。
けれど日々の活動に忙殺され彼女に連絡出来ないまま時を過ごしていた吾都は、ある晩、偶然にも彼女が命を絶とうとする場面に居合わせ、我が身を投げ出し助けることに。後日、顔を合わせた彼女に死のうとした理由を訊ねると、
『兄』ではない『兄』からの手紙に書かれた一文に絶望し、生きる気力をなくしてしまったということだった。
彼女の身に何かが起ころうとしている。謎の一文に言い知れぬ胸騒ぎを覚えた吾都は、佐奈と共に手紙の送り主を探し始める。
旧知の友である刑事課の木林誠道に力を借りながら真実を手繰り寄せるうちに、吾都は心に闇を抱える佐奈に「笑っていて欲しい」という慕情のような想いを抱くようになり……。
心に傷を負った臨床心理士と、加害者家族という罪を抱える古書店員が織り成す、恋愛ミステリー。
※この物語はフィクションです。登場する
人物・団体・名称等は架空のものであり、
実在のものとは関係ありません。
※表紙はミカスケ様のフリーイラストから
お借りしています。
※作中の画像はフリー画像サイト、pixabay
からお借りしています。
<参考文献・引用元>
・息子が人を殺しました 加害者家族の真実
阿部 恭子 著 幻冬舎新書
・加害者家族 鈴木 伸元 著 幻冬舎新書
・死刑冤罪 戦後6事件をたどる
里見 繁 著 インパクト出版