あらすじ
港町を訪れた編集者・七瀬は、取材先の染師・志織と出会う。静かな工房、藍の香り、白湯を分かち合う夜——言葉少なに交わされる視線と指先のぬくもりが、ふたりの距離を少しずつほどいていく。雨音に包まれた夜、触れ合った肌と肌の記憶は、朝を越えて関係へと変わっていた。心を濡らし、暮らしに染み込んでいく恋。やがて、七瀬は気づく。これは一晩だけのことではなく、自分の輪郭ごと染め上げるような、やさしく深い恋のはじまりだった。
🌙登場人物
🟦 七瀬(ななせ)
30代前半・雑誌編集者。
都会での忙しない日々に疲れ、港町へ取材を兼ねて訪れる。感情を表に出すのがやや苦手だが、繊細なものを見つめるまなざしを持つ。志織との出会いが、彼女の心の深部を静かに揺らしはじめる。
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🟦 志織(しおり)
30代後半・藍染の染師。
母の代から続く染工房をひとりで守る女性。寡黙で落ち着いた雰囲気だが、仕事にも人にも丁寧で芯がある。感覚と言葉の「間(ま)」を大切にしており、七瀬に少しずつ心を開いていく。