あらすじ
この世で最も高貴なオルデュール〈ごみ〉。
それが私に与えられた名前です。
アンブロシア大陸は自然の雨を知らない。
けれども雨を降らせることは出来る。
神の恩恵を受けた、ごく限られた女性のみによって。
大陸に在する大国サンブランカの王女として生を受けたリューことリュティシア。
雨に厭われる病に罹患した人々の希望となり天の恵みを地上に降らせる役目を背負いながら、神のいたずらか。なぜかその能力が開花することはなかった。
能力が発現しないリュティシアをやがて隣国の婚約者、軍事大国ウォーリッツの王太子は見放す。
雨呼びは不可能、かつ婚約者の座から滑り落ちた王女は国民からも疎まれ、前代未聞。議会の全会一致で追われるように国外に追放される。
失意の王女を受け入れたのは慈愛と奉仕、そして叡智の宝庫であるリゼ・マリア大神殿。
リュティシアはこの大神殿で大神官エバ、師と仰ぐエレノア、似た境遇の友に出会い大きく成長して行く。
時は過ぎ、大神殿に仕え一生を神と共に生きるものとして過ごす傍ら医師を目指して修行に励む中、7年ぶりに祖国から届いた突然の帰還命令。
事態が飲み込めないままサンブランカに帰国したリュティシアは、たまたま読んでいた新聞でその理由を知る。
そこに書いてあったもの。
サンブランカ、ウォーリッツと肩を並べるもう一つの大国。グリンフィードの第4王子、王太子弟ウィンザーへの降嫁。
政略結婚、だった。
稀代の戦攻者であり『神の戦車』と謳われながらも身勝手で放埒なウィンザーとの歩み寄れない日々が続く中、王太子の嗣子ヴィレシオンはリュティシアが大神殿で身に付けた才覚に惹かれていく。
また、王太子弟でありながら「王と成る」と予言されたことにより、父王から疎まれるウィンザーに押し付けられた紛争の地、サイドール領。
その復興に手を携えるリュティシアとウィンザーの間に芽生え始める友情とも愛情ともつかない感情。
3つの大国と周辺諸国、そして大神殿。
雨呼びの能力を授けられ王の妃としての将来を約束される選ばれた少女たちの奇跡と、各国の思惑。
これは選ばれなかった者たちの哀歌。
そして恋歌。
私はこの世をひとつに束ねるための必要悪として生まれました。
けれども私は生きた。
この恋に、生きた。