あらすじ
東の海に浮かぶ島、ルクスエヴァンス────。嘗て宗教弾圧から逃れこの島に辿り着いたテラー教徒は、先住民族との争いに勝ち、ルクスエヴァンスを宗教国として建国する。然しながら建国を巡っての意見の食い違いからテラー教はふたつの宗派に別れ、長きに渡り大地に血を流していた。
その〝終焉なき聖戦〟がひとりの司教の謀反により奇跡的な休戦を迎えてより十年。
港町イシエルに程近い採石場に、ひとりの年若い奴隷がいた。彼の名はリシュ。彼は嘗てこの島に住んでいた民族、リマ族の血を引いており、物心ついた頃には既に奴隷として生きていた。
雨季の訪れ、大粒の雨が採石場を襲う。窪んだ採石場には土砂が流れ込み、そして、永劫変わらぬ命を信じていたリシュの運命もまた、濁流のように押し流されてゆく────。