あらすじ

高校三年生の「私」は、ある日、化学室で実験中に甘くて苦く、懐かしくも危険な「匂い」を嗅ぐ。その瞬間から、時間が裏返しになったような奇妙な感覚に襲われる。桜が一瞬で咲いては散り、過去・現在・未来が同時に存在し、無数の自分の可能性が重なり合う世界へと迷い込む。周囲の友人や先生にはその異常は見えず、「私」だけが時間の裏側を知覚していた。  時間の感覚が狂い、日常生活も曖昧になる中、「私」は図書館で『時間の裏側』という謎の本に出会う。そこには「時間の匂いを嗅いだ者は全ての時を同時に生きる」と記されていた。混乱の中、学校の屋上で「別の可能性の自分」と出会い、選択を迫られる。「一つの時間に戻るか、全ての時間に生き続けるか」。悩んだ末、「私」は一つの時間に生きながらも、全ての時間を感じ続けるという曖昧な選択をする。  やがて日常は戻るが、「私」は時間の重層性や他の自分の存在を微かに感じ続ける。普通の生活を送りつつも、時間の秘密を自分だけの特別な感覚として胸に秘める。大学に進学し、化学を専攻した「私」は、再び「時間の匂い」を感じ取る同級生と出会い、自分だけではないことを知る。  やがて研究者となった「私」は、同じ体験を持つ仲間たちと「時間の探求者」として秘密の会合を持つようになる。科学では説明できない不思議な現象と共に生きることの美しさを知り、時間の匂いを人生の一部として受け入れながら、これからも歩み続けていく――。

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エブリスタ2025/05/22
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