あらすじ
探偵喫茶『ふたりごと』を開業して以来、いや、僕が探偵事務所に就職したときから見ても最も大きいと言える「事件」が発生した。
探偵業と執筆業を兼業し、探偵喫茶の店長でもあり僕の恋人でもある今井 千鶴(いまい ちづる)さんのもとに、ある依頼が舞い込む。
最初は単なる人探しだったのだが、探していた人が遺体となって発見されたというニュースが入ってきたのだ。その人は僕たちにとっては見ず知らずの人ではあるが、探偵業四年目にして初めての死人が出たのである。
調査対象が亡くなってしまったということで、依頼は達成できずに終わったわけだが、後日、依頼主が再び探偵喫茶を訪ねてきた。
今度は依頼人の父が行方不明になってしまったそうで、このときになって僕たちは、依頼人がどうして例の人物を探していたのか、本当の理由を知ることになる。
亡くなった人は美食家を名乗る人物で、依頼人が勤務している飲食店に客として来ていたらしい。そこで客どうしのトラブルが発生し、お店の悪評が立つ前にその人と会って話がしたかったようだ。
そこで改めて、今度は父を探してほしいという依頼が入る。例の美食家が亡くなった件とかかわりがあるのかどうかも調べてほしいということで、僕たちは再び調査に出向くことになった。
二つの事件の関連性はなさそうだと思っていたが、千鶴さんはほんのわずかな情報からひとつの可能性を見出した。
ただ、犯人探しは依頼に含まれていないということで、千鶴さんはそのことだけを報告し、あとは依頼人にまかせることになった。とは言え、千鶴さんの見立てが間違っているはずもなく、まもなくして犯人は捕まることになる。
僕たちはひっそりと事件から身を引くことになったのだが、見えないところで繰り広げられた犯人と千鶴さんの知恵比べは、千鶴さんに軍配が上がったのである。
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シリーズ第9弾は探偵パートがメインの長編ストーリーです。日常成分もありますが、シリーズ史上もっともシリアスな展開になったと思います。
結末はいかにも千鶴さんらしいものとなりますが、可能な限り現実味を持たせるように書きました。
相変わらずミステリー要素は少なめですが、たまにはこういう事件も起こるということでひとつ、二人の様子をお楽しみいただけますと幸いです。