あらすじ
昭和、平成の少年少女のロングセラー、ポプラ社「少年探偵 江戸川乱歩全集」のうち二十七巻以降の二十巻は、元々一般向けに書かれた作品を児童向けにリライトしたものである。
残念ながら江戸川乱歩自身がリライトしたのではなく、別の改作者によるリライトである。
三重県名張市の名張市立図書館が刊行した江戸川乱歩リフアレンスブック2『江戸川乱歩執筆年譜』(監修・平井隆太郎 中島河太郎 1998年 名張図書館)では、各作品ごとに改作者の名前を紹介している。
なおリファレンスブックは全三巻からなり、乱歩の生まれ故郷である三重県名張市の名張市立図書館が刊行した乱歩ファンや研究家、必読の資料である。
この『江戸川乱歩執筆年譜』で、ポプラ社から刊行された児童向けリライト『人間豹』『大暗室』を見てみたい。
<『人間豹』 ポプラ社 (1954年11月)30日 代作(氷川瓏)
昭和9年、10年の同題作品を少年向けに書き替え>
<『大暗室』 日本名探偵文庫21 ポプラ社 (1956年12月)30日
代作(氷川瓏。乱歩は「武田武彦」と記録)
昭和11・12・13年の同題作品を少年向けに書き替え>
氷川瓏《ひかわろう》は乱歩の弟子というべき人物で、弟の渡辺剣次《わたなべけんじ》は戦後十年ほど、乱歩の秘書というべき立場にあった。
氷川瓏が大部分の児童向けリライトを担当したことは間違いない。
だが『大暗室』『人間豹』の二作について述べると、氷川瓏の単独リライトとするには非常に無理がある。
真にリライトを担当した人物を消し去ることは、ミステリー小説や児童書の歴史を語るとき、多くの問題点が出てくる。
このエッセーは、資料を網羅し、ポプラ社『大暗室』『人間豹』の児童向けリライトが誰の手になるものかを紐解くものである。
※江戸川乱歩の著作権は既に消滅している。少年向けリライトも著作権は乱歩にある。
当時の連載の様子を探るため、挿絵も含めた資料引用をしている。あくまで資料引用であり、挿絵の著作権者に損害や迷惑をかける転載等は慎んで頂きたい。
✳︎画家・伊勢良夫氏のご遺族を探しております。よろしくお願いします。