あらすじ
古風な街並みで育った幼馴染の悠太と美咲。僕より一つ年上の美咲は、泣き虫な悠太をいつも守ってくれる姉のような存在だった。しかし、高校に入り美しく成長した彼女は、学園中の「マドンナ」となり、悠太には手の届かない「高嶺の花」と映る。多くの男子に告白されながらも美咲がそれをのらりくらりとかわす一方で、悠太は東京の大学へ進み、建築士になるという夢を追いかけることを決意する。
美咲は、幾度となく幼い頃の「約束」を思い出させようとするが、自身の夢や美咲への複雑な感情から目を背けていた悠太は、その真意に気づかないまま。互いに別の道へと進む卒業前夜、美咲は最後の望みをかけ、あの時の約束を口にする。しかし、悠太は臆病な心から彼女の想いを真正面から受け止めることができない。
数年後、東京で夢を追いかける悠太のもとに、美咲が難病で入院しているという報せが届く。病院へ駆けつけた悠太に対し、病室で美咲は幼き日の「大きくなったら悠太のお嫁さんになってあげる」という約束を告白する。悠太は全てを思い出すが、時は既に遅く、美咲は彼の腕の中で息を引き取り、手の届かない場所へと旅立つ。
美咲の死後、残された日記には、一途な彼女の悠太への深い愛と、孤独な闘病の記録が綴られていた。夏が来るたび、悠太は最も大切なものを失った後悔の波に囚われる。これは、自らの弱さと夢の狭間で、純粋な愛と深い喪失を知る、切なくも涙を誘う青春ラブストーリーである。