あらすじ
就職活動が思うようにいかない結衣は、今日もまた面接に向かう朝、ゴミ出しを忘れ、だらしない自分に嫌気がさしていた。慣れないパンプス、重い空気、電車の中でふと思い出したのは、かつて付き合っていた祐介との記憶。雨の夜、傘を届けに走ったあの日の情景は、今も鮮やかに残っている。
面接では、準備してきた言葉が虚しく響き、自分だけが取り残されていく感覚に襲われる。結果がわかってしまうような冷たい空気の中、結衣は一人、濡れた街を歩き出す。
コンビニで雨宿りをしていた結衣の前に、偶然、祐介が現れる。突然の再会に戸惑いながらも、彼は自然にビニール傘を差し出してくれた。しかし、そのすぐ後ろには、新しい恋人が寄り添っていた。
かつて隣にいた人は、もう違う誰かと共に歩いている。その姿に、結衣は静かに傘を返し、彼らとは反対の道をひとり走り出す。パンプスが跳ね上げる冷たい水飛沫を気にも留めずに──。