あらすじ
忘れたいけど、忘れられない恋が時々俺の胸を焦がすのです。
それは切なさではなく羞恥の熱であり嫌に張り付いてしまい取れないのです。
若気の至りと笑って流したいけれど、笑い話に消化するにはあまりにも恥ずかしい事なのです。
人生最大の恥。それが俺をうんと辱めるのが辛いのです。
特殊清掃員の仕事に就く上野春久は依頼のあった部屋の掃除へと赴いた。
成人男性が孤独死したアパートの一室には蝿と蛆が集り異臭を放ち、足の踏み場のないゴミの山を掻き分け中へ入れば、人一人が寝れるスペースの出来た寂しい穴を見つけた。
いつ見ても寂しい気持ちになる。
暗く沈んだ気分のまま、何となく部屋を見渡すと窓辺に飾られた写真が目に入る。
そして春久は気づき思考が停止した。
恐らく孤独死した家主の写真なのだろう。
そこに写る暗い表情を浮かべる男性を春久は知っていた。
春久の胸を焦がす恥であった。
13年前、春久は同性と付き合っていた。
恋人の名前は関口桜。女の様な名前に女の顔を貼り付けた男だった。
約12年越しに見る元カレの顔は酷くやつれていた。
元カレの孤独死した部屋を、元カレである俺が掃除する一日のお話し。