あらすじ

高校三年生の春、山田太一は「自分の影が十七秒遅れてついてくる」不可解な現象に悩まされていた。どんな行動も十七秒の時差を伴い、周囲との距離感と孤独を深めていく。そんな中、クラスメイトの佐々木は太一の「遅れ」に気づかないまま親しく接してくれていたが、やがて自らも時差を持つようになる。二人はある日、病院で「過去が見える」という同じ境遇の少女・時雨と出会う。時雨はかつて双子の姉を失い、過去と現実の狭間で生きていた。  三人は「大切なものを失うと時間から取り残される」という仮説に辿り着き、自分たちの記憶や心の傷と向き合い始める。やがて時雨は過去へ縛られた末に自ら命を絶ち、太一と佐々木は「自分たちの時間のずれの原因が忘れられた過去にある」ことに気づく。記憶を辿った末、太一はかつて自分が屋上から飛び降りようとした過去と、佐々木がそれを止めてくれた事実を思い出す。その心の傷と罪悪感が、二人の時差の正体だった。  やがて二人は過去を受け入れ、互いに手を取り現在を生きる決意をする。時雨や過ぎ去ったものたちへ感謝を胸に、太一と佐々木は今を大切に歩き出すのだった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2025/07/20
  • 現在の作品うしろ姿の彼岸