あらすじ

中学三年生の春、主人公の岸は自分の「うしろ姿」が鏡にも影にも映らなくなっていることに気づく。同じ現象は同級生や家族、さらには日本全国、そして世界中へと広がり、大きな社会現象となる。一部の人には影響が現れず、その違いも分からないまま原因不明のまま混乱が続く。  岸は不安を抱えながらも、現象に興味を持つ成績優秀な同級生・橘さんと行動を共にする。二人は「うしろ姿」は自己の一部でありながら、普段は直接見ることのできない、他人の視線を通してしか把握できない存在だと考え始める。やがて岸の前に、彼の「うしろ姿」がもう一人の実体として現れる。その存在は「切り離された岸自身」だと語り、再び一体に戻ることを求めるが、その方法は分からない。  橘さんの協力により、岸は理科室の鏡の前で「自分」と「うしろ姿」を重ね合わせることで一つに戻ることに成功する。直後、消失現象は世界的におさまり、人々の生活は元通りになる。しかし岸は、この出来事を通じて「自分自身の見えない部分=他者の視線や認識に委ねていた自分」を受け入れることの大切さに気付く。そして橘さんも、人の「心のうしろ姿」(隠された思いや本質)を感じ取る力を得たことを明かす。  謎の現象は完全に解明されないまま終わるが、岸と橘さんは「自分が見えない部分も自分自身」であり、他者とのつながりや理解が人をより本当の意味で「自分らしく」させるのだと実感し、共に歩みだす。ふたりは、これからもお互いの「うしろ姿」を見守り合いながら、自分自身を深く知ろうと前進していく。

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エブリスタ
エブリスタ2025/07/21
  • 現在の作品うしろ姿を奪う者